清々しい春の空気が竹林に満ちていた。木漏れ日の光が差し込む林道を進むと目印の木がある。総勢6名。今日は実家の山に筍掘りに来ている。
木の下に荷物と袋を置くと各自散らばって宝探しが始まった。斜面を登って探す人、手近な所から探す人など様々である。毎年来ているだけあって手際が良い。私は数年ぶりの参加だったのだが、堀り方は体が覚えていたようだ。最初の一個を掘り出してからは、時間を忘れて作業に没頭した。
ときおり、鍬が竹に当たる軽い音と笹の葉が風にそよぐ涼しげな音に混じって、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。この場所に初めて来たときは祖父が一緒だった。目印の木や他の所有者との境界のことなどを教えてもらった記憶がある。持ってきた鍬は年季が入っていたが、あのとき祖父が使っていものを今手にしていると思うと不思議な気分だった。
4袋ほどの収穫があったところでこの日の作業は終了した。収穫した筍を持って帰ると祖父が待っていた。山に入ることは減ったが、上手に調理してくれる。この日は茹でて味付けしたものを食べた。先程まで山にあったものだから美味しかった。
来年もまた行こうと思った。
投稿者:jc2523